弦楽器
はなやかな音(おと)をかなでる、うつくしいかたちの楽器(がっき)です。おおきさは60センチくらい。左肩(ひだりかた)とあごではさんで演奏(えんそう)します。ヒツジの腸(ちょう)でできた4ほんの弦(げん)を、ウマのしっぽの毛(け)をたばねた弓(ゆみ)でこすって音(おと)をだします。いまは弦(げん)は金属(きんぞく)でできています。ピツィカートという、ゆびではじく演奏(えんそう)のしかたもあります。
ヴァイオリンよりもちょっとおおきくて、ヴァイオリンよりも低(ひく)く、あたたかみのある音(おと)がします。ヴァイオリンとおなじように演奏(えんそう)します。オーケストラやアンサンブルで、おもに中間(ちゅうかん)の音域(おんいき)をかなでます。
おおきさは1メートルくらいで、ふつうは、いすに座(すわ)って足(あし)のあいだにかまえて演奏(えんそう)します。ヴィオラよりも1オクターヴ低(ひく)く、深(ふか)みのある、ゆたかな音(おと)がします。
おおきさが2メートルちかくあって、たいてい立(た)って演奏(えんそう)します。低(ひく)くて太(ふと)い音(おと)でオーケストラやアンサンブルをささえます。ピツィカートもよくひびきます。ヴァイオリンとちがって、なで肩(がた)です。
6ぽんの弦(げん)をゆびではじいて演奏(えんそう)します。ヴァイオリンとちがって、さおにフレットという、弦(げん)をゆびをおさえやすい部品(ぶひん)がついています。ナイロン弦(げん)のクラシック・ギター、金属弦(きんぞくげん)のフォーク・ギター、電気(でんき)で音(おと)をおおきくしたり、ひずませたりするエレクトリック・ギターなど、さまざまな種類(しゅるい)があります。金属弦(きんぞくげん)のギターは、ピックというつめでひくので、ボディにピック・ガードがついています。
桐(きり)の木(き)をくりぬいた胴(どう)に、13ぼんの絃(げん)がはってあります。絃(げん)は絹(きぬ)でつくられ、いまではナイロンのものもあります。ゆびに象牙(ぞうげ)やプラスティックのつめをつけて楽器(がっき)の右(みぎ)はじのほうをはじいて演奏(えんそう)します。江戸時代(えどじだい)に発展(はってん)し、関西(かんさい)のこまやかな生田流(いくたりゅう)や関東(かんとう)のちから強(づよ)い山田流(やまだりゅう)などの流派(りゅうは)があって、つめのかたちと、かまえかたがちがいます。
6世紀(せいき)くらいから朝鮮(ちょうせん)につたわる琴(こと)です。ながさ150センチほどの桐(きり)の木(き)の胴(どう)に、絹(きぬ)でできた12ほんの絃(げん)がはられていて、ひざにのせ、右手(みぎて)で絃(げん)をはじいて演奏(えんそう)します。散調(さんじょう)という即興(そっきょう)で演奏(えんそう)されることもおおく、左手(ひだりて)でおおきくヴィブラートさせるのが、朝鮮(ちょうせん)のかなしみの表現(ひょうげん)です。
モンゴルの楽器(がっき)で、「スーホの白(しろ)い馬(うま)」というおはなしでよくしられています。しかくい箱(はこ)に、さおがついて、そのさきがウマのあたまのかたちになっています。箱(はこ)には、いぜんはヤギやウマなどの皮(かわ)がはってありましたが、いまは板(いた)でできています。2ほんの弦(げん)を弓(ゆみ)でこすりますが、どちらもウマのしっぽの毛をたばねてできています。チェロのように演奏(えんそう)します。モンゴルではモリンホールとよばれています。
管楽器
歌口(うたぐち)という穴(あな)に息(いき)を吹(ふ)きつけて音(おと)をだす横笛(よこぶえ)です。むかしは木(き)でできていましたが、いまはおもに銀(ぎん)でできています。きらびやかな音(おと)がします。フルートの半分(はんぶん)のながさのピッコロは、1オクターヴ高(たか)く、するどい音(おと)がでます。
葦(あし)という草(くさ)でできた、ちいさな2枚(まい)のリードという部品(ぶひん)が楽器(がっき)のさきについていて、それを口(くち)にくわえて吹(ふ)くと振(ふ)るえて音(おと)がでます。管(かん)のなかが細(ほそ)いので、少(すこ)しの息(いき)でながく吹(ふ)くことができます。あまくもあり、かなしげでもある音(おと)がします。
楽器(がっき)のさきに1枚(まい)のリードをつけ、口(くち)にくわえて吹(ふ)くと振(ふ)るえて音(おと)がでます。4オクターヴくらいの広(ひろ)い音域(おんいき)で、やわらかい音(おと)からするどい音(おと)までかなでることができます。
オーボエとおなじく2枚(まい)リードで音(おと)をだします。楽器(がっき)のながさは135センチありますが、そのなかで管(かん)がU字状(ゆーじじょう)におりたたまれています。低(ひく)く、ユーモラスな音(おと)がします。
19世紀(せいき)なかごろ、ベルギーのアドルフ・サックスが開発(かいはつ)したあたらしい楽器(がっき)です。金属(きんぞく)でできていますが、クラリネットとおなじく1枚(まい)リードで音(おと)をだします。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンなど、いくつかのおおきさがあります。
ソロでもオーケストラでもブラス・バンドでも、かがやかしく、かっこいい音(おと)で活躍(かつやく)する楽器(がっき)です。マウスピースという部品(ぶひん)にあてたくちびるを振(ふ)るわせて音(おと)をだします。ベル(あさがお)をミュートというカップのようなものでふさぐと、くぐもった音(おと)になります。
ベートーヴェンよりまえは、教会(きょうかい)でつかわれていた神(かみ)の楽器(がっき)です。トランペットとおなじようにマウスピースで音(おと)をだしますが、スライドという管(かん)を右手(みぎて)でのびちぢみさせて音(おと)の高(たか)さを変(か)えます。
むかしの狩(かり)の角笛(つのぶえ)から発展(はってん)してできました。4メートルぐらいのながさの管(かん)が、ぐるぐる巻(ま)いてあります。30センチぐらいのベル(あさがお)のなかに右手(みぎて)を入(い)れて、やわらかい音(おと)がでますが、マウスピースがちいさくて音(おと)をだすのがむずかしい楽器(がっき)です。
おもさが10キロもあるおおきな楽器(がっき)で、低(ひく)く、どっしりとした音(おと)がします。管(かん)はのばすと9.5メートルくらい、ベル(あさがお)はおおきいもので50センチくらい。トランペットとおなじようにマウスピースで音(おと)をだします。おおきいからといって、息(いき)がたくさん必要(ひつよう)なわけではありません。
リコーダーということばには「小鳥(ことり)がさえずる」という意味(いみ)があり、スズメやオウム、ヒバリ、カナリアほか、いろいろな鳥(とり)に歌(うた)をおしえるのにも使(つか)われた楽器(がっき)です。シェークスピアの『ハムレット』に、リコーダーを吹(ふ)くのは、うそをつくのとおなじくらいかんたん、でも、このちいさな楽器(がっき)にも、ゆたかな音楽(おんがく)がねむっている、というせりふがあります。歌口(うたぐち)をくわえて吹(ふ)くと、そのすぐしたの窓(まど)に息(いき)があたって音(おと)がでます。ソプラノよりちいさいソプラニーノから2メートルくらいのコントラバスなど、さまざまなおおきさがあります。18世紀(せいき)なかばにフルートが発達(はったつ)してリコーダーはすたれていきましたが、20世紀(せいき)にふるい音楽(おんがく)がみなおされてきたのと、ドイツや日本(にほん)などで教育(きょういく)にとりいれられ、ふたたび演奏(えんそう)されるようになりました。
低(ひく)い音(おと)をだすためには楽器(がっき)はおおきくしなければなりませんが、おおきいと、ゆびがとどかなくなります。そこで、このセルパンはヘビのように、くねくねと曲(ま)がっています。セルパンというのはフランス語(ご)でヘビのこと。19世紀(せいき)にテューバが開発(かいはつ)されてから使(つか)われなくなりました。木(き)でできていますが、テューバのようにマウスピースで音(おと)をだし、低(ひく)くても重(おも)くない味(あじ)わいのある音(おと)です。
打楽器
大鍋(おおなべ)のような胴(どう)にウシやヤギなど、またはプラスティックの皮(かわ)がはってあり、マレットというバチでたたきます。おおきさがいくつかあり、おおきいほうが音(おと)が低(ひく)いです。いまはペダルで音(おと)の高(たか)さを変(か)えることができます。オーケストラの低音(ていおん)をささえるだけでなく、音楽(おんがく)のテンポをリードしたりもします。
おおきな木琴(もっきん)です。アフリカ(とくにコンゴ)でうまれた楽器(がっき)です。大小(だいしょう)の木(き)の板(いた)をならべ、したに、ひょうたんをつけたものから、いまのかたちに発展(はってん)しました。「マリンバ」とは「いくつかの板(いた)」という意味(いみ)です。バチ(マレット)の種類(しゅるい)によって音色(ねいろ)を変(か)えることができます。低(ひく)い音(おと)のひびきもすてきです。片手に2ほん、または3ぼんのバチをもって、ひとりでメロディとハーモニーをかなでます。
鍵盤楽器
18世紀(せいき)なかごろにピアノが開発(かいはつ)されるまえの鍵盤楽器(けんばんがっき)は、音(おと)のおおきさを変(か)えることができませんでした。ピアノは、おおきい音(おと)(フォルテ)も、ちいさい音(おと)(ピアノ)もだせる楽器(がっき)なので、ピアノフォルテというなまえでしたが、略(りゃく)してピアノとよばれています。ふつう鍵盤(けんばん)は88あります。ピアノのなかには金属(きんぞく)の弦(げん)が250ぽんくらいはってあって、鍵盤(けんばん)をおすと、フェルトのハンマーが弦(げん)を打(う)って音(おと)をだします。鍵盤(けんばん)からハンマーまでのメカニズムがとても複雑(ふくざつ)です。グランド・ピアノと、弦(げん)をたてにはったアップライト・ピアノがあります。
鍵盤(けんばん)をおすと、水鳥(みずどり)のはねの軸(じく)でできたつめがついた部品(ぶひん)がはねあがり、ほそい金属(きんぞく)の弦(げん)をはじいて音(おと)がでます。強(つよ)くひいても弱(よわ)くひいても音(おと)のおおきさは変(か)わりませんが、2ほんの弦(げん)をいっしょに鳴(な)らしたりして音(おと)のおおきさを変(か)えることができます。静岡音楽館(しずおかおんがくかん)AOIのチェンバロは、1995年(ねん)にフランスでつくられ、18世紀(せいき)はじめごろのスタイルの楽器(がっき)です。高(たか)い音(おと)がのびやかで、きらきらと花(はな)ひらいてふりそそぐかのようです。
楽器(がっき)の女王(じょおう)ともよばれています。たくさんあるパイプに風(かぜ)を送(おく)って音(おと)をだします。パイプは、金属(きんぞく)でてきているもの、木(き)でできているもの、かたちもいろいろあって、それぞれがフルートやオーボエ、クラリネット、トランペットなどのような、さまざまな音(おと)をだすことができます。いろんな音色(ねいろ)をくみあわせて演奏(えんそう)します。静岡音楽館(しずおかおんがくかん)AOIのオルガンはフランスの、ドイツちかくのアルザスのまちストラスブールでつくられました。そこの、モーツァルトが「もっともすばらしい」と絶賛(ぜっさん)したサン=トーマ教会(きょうかい)のオルガンをモデルに、18世紀(せいき)のオルガンのうつしさを再現(さいげん)しています。2,868ぽんのパイプがあります。