インタビュー 川久保賜紀(ヴァイオリン)
10月10日(土)「子どものためのコンサート 川久保賜紀 遠藤真理 三浦友理枝 トリオ ~3つの楽器でめぐる音楽の世界~」に出演する、ヴァイオリニストの川久保賜紀さんにおはなしをうかがいました。

©Yuji Hori
このコンサートの聴きどころ
――今回のコンサートは、小学生をおもな対象とした「子どものためのコンサート」としてプログラムをお考えいただきました。プログラムの特徴、聴きどころについてお聞かせください。
川久保 このコンサートのプログラムは、あらゆる年齢層の方に楽しんでいただける内容になっています。各楽器の音色を際立たせる曲もあれば、3つの楽器が調和する曲もあり、お子様にも様々な音色を体験していただけます。私自身、どの曲を演奏するのも好きなのですが、特に聴きどころと言えるのは、坂本龍一さんの〈戦場のメリークリスマス〉や〈M.A.Y. in the Backyard〉、あるいは〈チャールダーシュ〉といった曲でしょうか!
室内楽のたのしみ、共演者について
――このコンサートは、チェロの遠藤真理さん、ピアノの三浦友理枝さんとともに、ピアノ三重奏という編成でのご出演ですが、ソロやオーケストラとの共演とは異なる、ピアノ三重奏ならではの愉しみ、また難しさはなんでしょうか。
川久保 どのような形態の室内楽であっても、コミュニケーションは特にとても重要です。真理さん、友理枝さんとピアノ・トリオとして演奏する際の喜びの一つは、10年以上の付き合いの中で築き上げてきた、深いコミュニケーションと対話にあります。演奏中に互いのタイミングや「想い」を感じ取り、それに対して反応できるようになる‥‥それは本当に素晴らしい体験です。
――遠藤さん、三浦さんとは長年共演されていますが、リハーサルの際に3人でどのようなおはなしをしながら音楽を作り上げていますか?
川久保 私たち3人がリハーサルで集まるときは、たいていコーヒーやおやつを楽しみながら、最近の出来事を話すところから始まります! もちろん、曲の音楽的な性格やタイミング、流れについての解釈を話し合うことも、欠かせない大切な時間です。

©Hikaru.☆
ヴァイオリンとの出会い
――初めてヴァイオリンを触った時のことを覚えていますか? その時感じたことや始めたきっかけについてお聞かせください。
川久保 私は5歳の時に、スズキ・メソードでヴァイオリンを始めました。正直なところ、初めてヴァイオリンを弾いた時のことは覚えていませんが、「全然しっくりこないな(弾きにくいな)」と思ったことは記憶に残っています! それでも、当時の先生やその後の先生方が常に私にインスピレーションを与えてくださり、そうした経験が学びの過程を通じてずっと続いてきたのだと思います。
――川久保さんが演奏するヴァイオリンについて教えてください。
川久保 昨年の11月から、八木ファインアーツ・コレクションより貸与された、1685年製のストラディヴァリウス「ex-Gagliano(エクス・ガリアーノ)」を演奏しています。この楽器の大きな魅力は、非常に多彩な特性と、幾重にも重なるような音色の深みを持っていることです。

©Yuji Hori
静岡のお客様へ
――最後に、川久保さんが今、音楽を通じて最も伝えたいメッセージなどをお聞かせください。
川久保 作曲家から私たちに託された楽譜上の音符を、一つの「生命体」や「生きた源」へと変えていくこと――これこそが重要であり、同時に、実現し伝え続けていくための終わりのない挑戦でもあると考えています。音楽を聴いて感じるあの高揚感こそが、音楽に命を吹き込む喜びであり、愛なのだと思います。
| 川久保賜紀(ヴァイオリン) Tamaki KAWAKUBO(Vn.) ![]() ©Yuji Hori | 2001年、サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、2002年、チャイコフスキー国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門最高位受賞以来、主要な北米オーケストラと共演し、豊富なステージ経験を積む。日本では1997年、C.ミョンフン指揮アジア・フィルハーモニー管弦楽団のソリストとしてデビュー。以後、国内外様々なオーケストラと共演を重ね、高度な技術と作品の品位を尊ぶ深い音楽性に高い評価を得ている。近年は自ら企画するコンサートを行うなど、コンサート・プロデューサーとしての才能も発揮。2026年3月、ポーランド室内オーケストラとドイツ7都市のツアーを成功させ、5月、アルゲリッチ音楽祭レジデント・アーティストに就任。後進の指導にも積極的に取り組み、2018年より桐朋学園大学院大学(富山校)教授に就任。 |
| 遠藤真理(チェロ) Mari ENDO(Vc.) ![]() ©Yusuke Matsuyama | 第72回日本音楽コンクール第1位、2006年、「プラハの春」国際コンクール第3位(1位なし)、2008年、エンリコ・マイナルディ国際コンクール第2位。 J.P.ヴァレーズ、小林研一郎、山田和樹など国際的に活躍する指揮者やウィーン室内管弦楽団、プラハ交響楽団、ザルツブルク・ゾリステンらと共演するなど国内外で高い評価を得ている。ソリストとしてだけでなく読売日本交響楽団のソロ・チェロ奏者も務める。CDはエイベックスクラシックから7枚リリースされており、テレビや映画演奏の他に、2012年から8年間、NHK-FMラジオ「きらクラ!」(全国放送)のパーソナリティを務めるなど幅広く活躍中。2009年齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。 |
| 三浦友理枝(ピアノ) Yurie MIURA(Pf.) ![]() ©Yuji Hori | 英国王立音楽院大首席卒業、同音楽院首席修了。2001年、第47回マリア・カナルス国際音楽コンクール・ピアノ部門第1位、2006年、第15回リーズ国際ピアノ・コンクール特別賞を受賞。これまでに、東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、カイロ交響楽団など国内外の主要オーケストラと多数共演。また東京・春・音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ、仙台クラシックフェスティバル、いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭等の音楽祭にも数多く招かれている。エイベックス・クラシックスより6枚のソロCDをリリース。2016年、第26回新日鉄住金音楽賞受賞。 |
| CONCERT INFORMATION |
| 静岡音楽館AOI コンサートシリーズ2026-27 子どものためのコンサート 川久保賜紀 遠藤真理 三浦友理枝 トリオ ~3つの楽器でめぐる音楽の世界~ 2026年10月10日(土)15:00開演(14:30開場)
出演 川久保賜紀(ヴァイオリン、お話)
曲目 第6番 (W.F. AMBROSIO 編) M.ラヴェル:《マ・メール・ロワ》より (浦壁信二 編) 坂本龍一:戦場のメリークリスマス M.A.Y. in The Backyard V.モンティ:チャールダーシュ D.ショスタコーヴィチ:2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品 より R.ロジャース:ドレミの歌 (ミュージカル《サウンド・オブ・ミュージック》より) A.ヴィヴァルディ:〈秋〉op.8-3, RV.293 第1楽章(ヴァイオリン協奏曲集《四季》より) A.ピアソラ:ブエノスアイレスの秋 C.ドビュッシー:月の光(《ベルガマスク組曲》より) C.サン=サーンス:白鳥(組曲《動物の謝肉祭》より) F.クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース op.6
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